学会研究プロジェクト

2017〜2020年度学会研究プロジェクトの概要

本研究プロジェクトは、将来的な学会プロジェクトのあり方やルールを検討するとともに、学会員が活用可能なデータベースや調査票の検討、学会員が研究に参加できる場の提供、ならびに研究成果の発表支援を目的として実施されました。
本プロジェクトでは、下記の2項目について調査を実施し、その成果を基に複数の研究報告を行いました。

① 身体計測
本調査では、幅広い競技種目のトップアスリートを対象として、身体的な特徴を詳細かつ高い正確性で把握することを目的に身体計測を実施しました。
測定部位は、身長、体重、8部位の皮下脂肪厚、5部位の周径、そして2部位の幅径です。身体計測は比較的安価かつ携行性に優れた計測機器を用いるため、利便性に優れたアセスメント法です。身体計測からは選手の身体サイズやプロポーション、皮下脂肪分布などを実測値から把握することができますが、これらに加えてボディ・マス・インデックス(Body Mass Index: BMI)やウエスト・身長比(Waist-to-Height Ratio: WHtR)などの指数を算出することで、選手間や集団間の比較を容易に行うことができます。
本調査により得られたデータはジュニアアスリートも含めてパフォーマンスを維持・向上させる際の参考値として活用していただけるほか、日本人アスリートのパフォーマンスをさらに高めるための身体的な要因の検証を目的とした外国人選手との比較研究などへの活用も期待されます。

② 食習慣・食環境に関する調査
食習慣・食環境に関する調査では、「基本情報」と「食習慣・食環境」の2項目から構成される質問紙を作成しました。「基本情報」は性・年代のほか、競技や練習の状況、競技に対する価値観、トレーニング状況、身体の状況などについての質問です。「食習慣・食環境」は、普段の食事の内容、どこで食事をするか、外食・コンビニエンスストアなどの利用状況、サプリメントなどの利用状況、食事に関する知識、情報源などについての質問です。質問項目は、プリシード・プロシードモデルに基づいて整理・構成され、1,000名を超える競技選手から得られた回答データを用いて分析を行いました。
本プロジェクトで整備した質問紙は、会員の方が共通の枠組みを用いて研究を行う際に活用いただけます。

学会研究プロジェクト報告

学会研究プロジェクトの研究結果は、日本スポーツ栄養研究誌の以下の該当ページに掲載されております。

日本人成人競技選手の身体計測値について ―日本スポーツ栄養学会研究プロジェクト・パイロットスタディー報告―
p.46-56 2023年発行

都道府県大会出場レベルあるいはプロフェッショナルの18歳以上の15種目の選手148名を対象に身長,体重,周囲径,皮下脂肪厚,骨幅の測定を実施した結果を報告した。
日本人若年成人競技選手の食習慣・食環境調査の 概要 ─日本スポーツ栄養学会研究プロジェクト・パイロットスタディー報告─
p.57-79 2023年発行

選手の食事に関連する要因をプリシード・プレシードモデルに従って整理し質問紙を作成し,1,466名から得られた回答について報告した。
居住形態別にみた青年期競技選手のバランスの良い食事の習慣に関連する要因
p.60-70 2024年発行

プロジェクトで作成した質問紙への回答を基に,バランスの良い食事に関する要因を居住形態別に検討した。一人暮らし以外の者では食事提供者の存在,家族と同居または寮生活の女性ではチーム内の食事の規範が関係している可能性が見られた。
大学ボート競技選手の形態、身体組成と体型:性差および海外ボート選手との比較
p.81-94 2024年発行

プロジェクトで得られたデータから,ボート選手の形態の特徴を実測値,身長補正値,Phantomモデル,ソマトタイプから検討した。形態,身体組成,体格には性差があり,また,日本のボート選手では脂肪組織が海外選手より多い傾向が見られた。
新型コロナウイルス感染症拡大前後のアスリートの食行動
p.112-119 2024年発行

プロジェクトで作成した質問紙への回答を基に,COVID-19の感染拡大前後での食行動の違いを男女別に比較した。感染拡大前後で食事摂取場所や主食・主菜・副菜のそろう食事の頻度に違いがみられ,性別によって食行動の変化が異なっていた。
スポーツコンディショニング現場におけるBody mass index – Leanness ratio scoreを組み合わせた体格評価の提案
p.142-149 2025年発行

プロジェクトで得られたデータから8競技種目71名のデータを使用して,2種類の体格指標から競技別の体格の傾向を評価することを試みた。Body mass indexとLeanness ratio scoreの組み合わせにより,性別や種目による集団や個人の体格の違いを視覚的に評価できる可能性を示した。